世界の医薬・医療技術向上と
人々の健康と福祉向上にむけて

公益財団法人実験動物中央研究所(実中研)は1952年の創設以来、医学・医療の研究に適する品質が一定で再現性の高い実験動物の作製および、それを用いた新しい動物実験法の開発に力を注ぎ、国内のみならず世界のアカデミア機関と共同研究を進めてきました。
近年の創薬研究の現状として、前臨床試験から上市される薬は1%。その間に多くの研究資材や労力が費やされています。 このように確率が低い原因は、前臨床試験と臨床試験のPOCが一致しないことにあると言われています。 つまり、実験動物で得られる薬物動態、薬効、安全性評価に関するデータが、ヒトのそれと異なっているということです。 これらに鑑みて実中研では、実験動物をヒトに近づけるため、遺伝子改変技術を用いて多種のヒト化動物を作製し、そこから発展してヒト疾患モデルを確立しており、創薬研究のほかアカデミアでの病態解明においても役立てられています。 中でも、世界に先駈けて小型非ヒト霊長類であるマーモセットを実験動物化し、遺伝子改変にも成功しています。 また、疾患モデル動物の病態解析については、従来の病理学的解析のほか、MRI、CTなど非観血的な方法で明確にする方法を開発してきました。 さらに、精神神経疾患モデル動物や呼吸器疾患などの疾患モデル動物にストレスを与えることなく24時間監視し、そのデータをデジタル化することよって病態変化を評価する方法を共同開発しています。 このシステムにより、疾患の早期から病変の進行を連続的に詳細にすることが可能となり、治療効果を可視化することができます。

当然ながらヒト疾患と疾患モデルとの間には大きな差があります。 したがって、疾患モデル動物を評価する場合、得られたデータをヒト疾患のどの部分に外挿するのかを充分吟味し、研究に用いる必要があります。 現在はヒト疾患のビッグデータの蓄積により、初期病変からその病態がかなり明確になってきました。 それらの情報をも活用し、疾患モデル動物の更なる改良と開発を行う必要があります。
実中研の創設者野村達次博士は、実験動物は医学・医療に貢献して初めて価値があるという考えで「In vivo実験医学」という概念を提唱しました。 その精神を受け継ぐとともに、新しい医生物学的理論や技術を加えた動物実験によって医学・医療の発展に貢献できるよう努力したいと思います。

公益財団法人実験動物中央研究所
所長 秦 順一

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